昨日、一昨日とWWDC 2017についてウダウダと書き連ねましたが、個人的にはiOS 11よりもiMac Proよりも衝撃を与えられ、今回の基調講演のハイライトだったと思う内容があったので、どうしても書いておきたいのです。マサコさんのこと。
WWDCはAppleが開催する世界開発者会議ですので、世界中からMacOSやiOSのソフトウェア開発者などが参加するわけです。それで、今回の基調講演の中で、最年少参加者と最高齢参加者が紹介されたのですよ。
最年少はオーストラリアのユマくんで10歳。わずか10歳でアプリの開発をちゃちゃっとやってしまえるなんてすごいですよね。WWDCの会場への移動中にもアプリを一つ作ったとか言ってて、まさに電脳少年って感じです。
でもさぁ、いつの時代だって天才少年少女はいますし、生まれた時から傍にパソコンがあるのが当たり前の環境なら、こういう子いるいる、くらいの驚きなんですよね失礼ながら。
ところが。その後に紹介されたのが最高齢参加者のマサコさん。from Japan。えっ?!
(基調講演のスクリーンに映されたユマくん(左)とマサコさん(右)。壇上にはAppleのティム・クックCEO)
なんと、若宮正子さんという82歳の女性が、今回の最高齢参加者なんだそうです。ここに参加するということは当然アプリの開発経験があるということなんですが、若宮さんはhinadanというiOSのゲームアプリを自作されているそうなんです。
じゃあ元々そういうお仕事をされてきた方なのかというとそうではなく、かつては銀行にお勤めで、退職後還暦を過ぎてから趣味としてパソコンに触れるようになったのだそうです。なので、プログラミングは独学で習得されたのだそうですよ。
最近のゲームは若い人が勝つようにできているから年寄りにはつまらない。高齢者が勝てるようなゲームを作りたい、と思い立ったのがプログラミングを学びアプリの開発を始めるきっかけになったのだとか。すごい。すごい動機じゃないですか!
そして完成したhinadanは、2016年の夏にMacBook Airを購入してプログラミング言語「Swift」を学び始めるところから始まって、2017年2月24日に公開。うわ、おおよそ半年くらいでゲームアプリを作ってしまったんですね!これは本当に衝撃的です。
あー、もうね、加齢とともにいろいろなことを諦め続けている45歳のおっさんには、だからって全てを諦める必要なんてないし、新しいことはいつだって始められるんだという反省を込めた教訓がグサグサ刺さってきます。
マサコさん(というかオフィシャル愛称はマーチャンだそうです)のことについて色々情報を集めていたら、ITmediaのこの記事が興味深かったですね。
WWDC冒頭で、クックCEOが82歳のiPhoneアプリ開発者・若宮さんを紹介 成田空港でインタビューしてきた
マーチャンのお人柄や情熱が伝わってくる良記事だと思いました。読み進めていくごとにゾクゾクしましたよ。
それと、マーチャンの公式ホームページもなかなか。一昔前に流行っていた懐かしのホムペ様式だっ、とニヤついてしまいましたが、Excelで手芸とかのコンテンツは逆に若い人の発想ではなかなか出てこないだろうなあと思いました。イカスぜ!この言い回しがイカしてないけど賛辞を送りたい気分です。
いくつになっても想像力と行動力があれば地味に世界を変えていける、そんな見本だなあと強く心を揺り動かされました。今年のWWDC、ほんとすごかったな。とりあえず今度、母のiPadにhinadanをインストールしてみようと思います。