当たり前のように使っていた、車同士のすれ違いのことを指す「離合する」という言葉が共通語ではなかったなんて!

11/6に書いた記事に頂いたコメントで、気になる一言がございました。「離合って方言なんですよ」とのこと。確かにさほど深くも考えず、もちろん違和感もなく、自然に「離合できないくらい狭い箇所」「離合なども気にせず走れた」という表現を使っておりますが、果たして…。

こういう時にはまず、グーグル先生に尋ねてみるのが一番早いですよね。では検索窓に「離合 方言」と入れてググってみましょう!

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うわっ!いっぱい出てきた!

検索結果としてヒットしたページを一つ一つ読んでみました。本当に心の底から驚きましたよ。だって当たり前に使っている用語だったのに、その意味が通じない地域が本当にあるという事実を目の当たりにしたのですから。これは知りませんでした。ご指摘ありがとうございます。

ちなみに、通じない地域の方に向けてご説明すると、「離合」とは「車ですれ違うこと」を指す言葉として使っているのです、我が愛媛県では。例えば細い山道を車で走っていて、対向車がやってきた時に「ここでは離合できないから少しバックしよう」なんていう風に使うんですね。

で、いろいろなページを読んでみて総合すると、おおよそこういうことだというのが解りました。

  • 主に九州から中四国・関西くらいまでの西日本地域を中心に使われている。東日本では通じないことが多い。
  • 使用する地域では警察や自動車学校でも当たり前のように使う表現であり、「この先離合困難」というような警告表示も見られる。
  • 離合という言い方をしない地域では「行き違い」「すれ違い」という表現をする。
  • 起源は鉄道用語だという説があるようだが定かではない。

なるほどなあ。

…ということは、離合という表現を使わない地域に住んでいる方々にとっては、愛媛なんかにドライブでやってきて「この先離合困難」という看板を見かけても、何の意味だか解らないってことですよね。これは下手すると身の安全にも関わってくることなので、言わない地域の方にも意味を知っておいて欲しいし、言う地域の方には言わない地域もあることを知って、図示や言い換えも添えるなどしておいたほうが良いと思いますね。

ちなみに、言語学者の井上史雄先生が、このような比較的新しく成立した方言を「新方言」という概念を提唱して研究されているのだそうです。wikipediaにも「新方言」という項目があり、そこに新方言の例として、「離合」も掲載されていました。この例の一覧、見てたら結構楽しいですよ。

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そう、そして離合とともにラ行で掲載されている「ラーフル」! これも我が愛媛県では当たり前のように使っていたのに、実は鹿児島、宮崎、愛媛の一部でしか使わない言葉なんですよね。これは黒板消しのことなのです。今でも愛媛の学校では言うのかな? 黒板よりホワイトボードが主流になってくると消え去る運命の言葉かもしれませんが。

その他にもわたくしが知っている、愛媛では当たり前に言うけど実は新方言である言葉として「鳥の子用紙」と「マダムロシャス」がありますが、県外の方は意味が解りますか?

「鳥の子用紙」は共通語で言うと模造紙ですね。「マダムロシャス」はカクテルの名前で、要するにカシスのグレープフルーツ割りです。他の地域では通用しないそうなので、何それ?と驚かれても逆に驚かないようにお気をつけください。それぞれの由来なんかも以前調べたことがあるんですが、また暇な時にご紹介します。ではではおやすみなさい。

「当たり前のように使っていた、車同士のすれ違いのことを指す「離合する」という言葉が共通語ではなかったなんて!」への2件のフィードバック

  1. びっくりですよね!私もそれまで離合って全国当たり前に使われていることばだと思っていたのにそうでなかったと知った時のショックったら。。
    ラーフル、トリノコ用紙、マダムロシャスも通じないですね。うちの家族は私がしっかり(?)教えたので今はわかりますが、最初に聞いた時はさっぱりわからなかったようです。
    新方言、ということばはこのブログで初めて知りました。方言も進化するものなのですねー。勉強になりました。

    1. パリッコ様

      コメント、というかネタ提供そのもの有難うございました。本当にご指摘いただくまで全く知らなかったんですよ。

      でも「離合」という言葉を使わない地域では「すれ違い」「行き違い」という言い方をするそうですが、「離合」のほうが2音短くてスマートというかエコというか、広めたくなりませんか? 目指せ共通語化。

      新方言っていうのも調べてみると面白いですね。各県での絆創膏の呼び名とか、ほんとに不思議な分布になってますよ。

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