今日もまた小豆島の話を。高松からの玄関口は島の西側の土庄港で、わたくし達も今回はそちらを拠点にしたのですが、一日はレンタカーで島の東南のほう、神戸からの玄関口でもある坂手港の辺りまで足を伸ばしました。
その坂手港と、そこから湾沿いに土庄の方へ引き返す途中にある草壁港の間あたりに醤(ひしお)の郷と呼ばれる地域があります。読んで字のごとく醤油の蔵元が沢山ある地域で、現地に行ってみると醤油の香りがほんのり漂っております。
その醤の郷の中でも、少し山側に入ったほう。醤の郷の奥座敷なんて呼ばれるような、住宅地の路地を入り込んだところに「ヤマロク醤油」さんという蔵元さんがあります。こちらでは現在でも、機械ではなく大きな杉樽を使っての手作りで醤油を作られていて、しかもいつでも見学をさせていただけるとのことで、興味を持って立ち寄ることにしました。
カーナビをセットはしたものの、県道から外れたら入り組んだ住宅地の中や離合もしづらい川べりの細道を案内され、不安に駆られながら進んでいくと小さな矢印看板を見つけてなんとかたどり着けました。
着いたら快く招き入れて下さり、蔵を見せてもらったのですが、そのスムースさにうっかり、建物の全体像をカメラに収めるのを忘れてしまったのが悔やまれます。
蔵に入る前にホコリ取りのハンディモップを手渡されます。体についたホコリをよく払ってから入ってくださいということです。気は遣うけれども近代的な工場のように白衣に着替えて帽子とマスクでエアシャワーみたいなところまではしないアナログな感じがいいですね。
でも見学に際して絶対これだけは避けて!という約束事があるのですよ。これはホコリ取りでもダメなのだそうです。それはなんと。
納豆を食べてから来ちゃダメ!
ということ。お醤油を熟成させる菌はタフな奴なのだそうです。でも、納豆菌には負けるのだそうで、蔵の環境を崩さないためには守らなければいけないルールなのです。
で、中に入って見せていただきました。実際に醤油を作っている大杉樽。ゆうにわたくしの背丈を超えた高さがあります。この中にたっぷり入ったもろみがじっくりと熟成され、これを絞って醤油ができるのだそうです。樽の周囲のもふもふした感じのものは樽から染み出した酵母だそうです。もう、長年使っていると樽に酵母が住み着いちゃっているので、それに醤油作りは任せて、人間はその手伝いをするだけだ、なんてことをおっしゃってましたね。
大掛かりな工場の見学みたいに全行程を説明付きで見て、という感じではなく、この杉樽がドーンと並んでいる蔵を見せて頂いて簡単な説明を受けるくらいですけれど、思わぬインパクトがあり、なかなか見応えがありましたよ。
ちなみにこの大きな樽は、もう国内で作っているところが1箇所しかなく、これでは子の代、孫の代と先々の分が手に入らなくなってしまうではないか、と危惧したヤマロク醤油さんは、従業員さんをその樽屋さんへ弟子入りさせて自分たちで大杉樽を作ることに成功。ただ昔ながらの醤油造りを守りたいというだけで(でもこれすごく大事)大杉樽屋さんまで始めたというのは非常にすごいことだと思いました。
さて、見学を終えて。お楽しみの醤油飲み放題!ではなく醤油のテイスティングサービス。4種類の製品の味見をさせて頂きました。指につけてちょっと舐めて、それだけでおおっ!と思ったのが、人気商品である「鶴醤」という醤油。これは再仕込み醤油と言って、2年かけて熟成させた醤油を、再度原料に使って樽で2年仕込むというもの。つまり普通の醤油より原料も製造年月も2倍要しているという贅沢な醤油なのです。濃厚で、かつまろやかな旨み。
それともう一つ、丹波黒豆を使って作られた「菊醤」も美味しかった!こちらは鶴醤より塩気が強めに感じましたが、あっさりとしていて薄口醤油のイメージ。上品な煮物が作れそう。
ポン酢と菊つゆも捨て難い味でしたが、ひとまずベーシックな2本の醤油をお試しで買ってみました。今使っているメジャーレーベルの醤油が無くなったら使ってみようと思います(なので残ってる醤油を使い切るためドバドバと煮物作ったりしてます)。
それではヤマロク醤油さんを後にして、と思いきや更にお楽しみが!
ヤマロク茶屋〜!
蔵の軒先に椅子とテーブル置いただけ、のようですがここでしか食べられない醤油スウィーツを楽しめば立派なオープンカフェ。
定番おすすめメニューは何と言っても、バニラアイスにお醤油「鶴醤」をかけて混ぜ混ぜ食べるというお醤油アイス。元々これを食べようと思って行ったわけなんですが、メニューに週末限定の醤油プリンというものがあったので、満場一致でこちらを注文。
隠し味に「菊醤」が入り、その原料である丹波黒豆の煮汁でシロップを作っていてお好みでかけるというもの。トッピングも丹波黒豆です。
ほう、これはこれは。えー?醤油プリン?という名前の突拍子もなさから来る一抹の不安など吹っ飛んでしまう美味しさ。ちゃんとスウィーツでした。甘さ控えめ香り高し味濃厚。
そんなお楽しみもある素敵な醤油の蔵元「ヤマロク醤油」さん。何より伝統を守りつつ新しいことをしていこうという活気が感じられて素敵でした。小豆島へ行かれるなら是非、蔵の様子を見せてもらいに訪ねてみるといいですよ。