悪い冗談が冗談じゃなくなったようで。部屋で独り命尽きることのあれこれを知る

昨日、冗談でもあんなことを書かなければよかったなと、少し後悔しています。まさか翌日に、そっくりなことが起きるなんて。無意識に予兆を感じていたのだろうかと恐ろしくなりました。

風邪で寝込んでいたのでネガティブな事ばかりが思い浮かんでいた昨日、言ってしまえば「このまま死んでしまうのかもしれないな」なんてことばかり考えていたのです。それで、「二ヶ月後不審に思った大家さんが合鍵で部屋の中を確認したところ…みたいな未来しか描けなくなって寝て」という文を深く考えず記してしまいました。

そう、それが似た状況で現実になったのです。弊社の事務所があるのは普通の古びたアパートなので、他の部屋は一般の世帯なのですが、隣の隣の部屋に住んでいる方が今日、遺体で見つかったのです。たぶんまだ60歳前くらいの、元気に仕事されている大工さんだったので、突然の事に驚きました。

出張でずっと留守にしていたので、その方とお会いしたのは年末の出発前日が最後でした。たまに野菜などをお裾分けして下さる事があったのですが、その日も蜜柑を一袋下さいました。その時は全く、身体の調子が悪そうな様子も見られなかったのです。

そして、火曜日の夕方に松山へ帰ってきて、それから今日まで姿をお見かけする事はありませんでした。もちろん会う事の無い日も当たり前にあるわけですから、なんとも思わないのですが、隣の部屋に住んでいるおばさんと今朝久しぶりに(こちらも出張前以来)お会いして話をしたら、大工さんの姿がしばらく見えないんだけど知らない?と聞かれたのでした。

それってどういうこと?と思って、おばさんの話を詳しく聞くと、もう何日も、大工さんの部屋は夜になっても電気が点いてないし、仕事用の軽トラも動かした気配がないし、壁越しに聞こえてた台所の炊事の音もしない。旅行で留守をするような人ではないし、入院されたとかなら誰かに伝える人だけど自分も近所の親しい人にも言ってないから入院ではなさそうだし。というようなことでした。

それを今朝、大家さんにも話して、それから大工さんをよく訪ねてくる近所の親しい人にも話して、でも確かに2、3日見かけないけれど心配し過ぎじゃないの?ちょっと留守にしてるだけじゃないの?という感じだったらしいのです。

でもどうにも気になって仕方なかったらしく、夕方になって大家さんに中の様子を見て欲しいと頼んだのだそうです。そして、裏庭の掃き出し窓がたまたま施錠されていなかったので、開けて、声をかけて、入ってみて、ダイニングの明かりをつけてみたら、廊下で倒れている大工さんの下半身が見えて、慌てて飛び出したということで。

その狼狽した声が外から聞こえて、今朝聞いたおばさんの話が脳裏に浮かび、まさかと思ってわたくしも外に出たら、たぶん亡くなっていると言われて。えっ?と思って疑いを確かめたくても、やはり足がすくんでしまいました。

その後、警察の方が来て、救急車も来ましたが死亡が確認されたので帰られて、鑑識の方々も来て、現場検証が始まって、事情聴取もされて、3時間ばかりの間、アパートは騒然となりました。

何よりもまず、亡くなられた大工さんのご冥福を祈り、そしてご遺族の方へのお悔やみの気持ちが先に立ちますが、その一方で、これは他人事ではないんだぜ、という様々な事を思い知りました。

一人で気楽に暮らす事は、一人でひっそり命が尽きる事と隣り合わせであるわけですし、一人で生きているつもりでも最期は周囲の人にこんなに影響を与えるケースだって起こりうるし。自分の場合ですと、じゃあこの会社の後始末は何処の誰がどうやってするの?といった問題もありますが、それについては全く何も考えておりませんでしたし。

そして、どの瞬間が自分の終点になるかなんて本当にわからないけれど、どの瞬間にだって、そうなる可能性があるんですよね。その瞬間がいつであれ、悔いの残らないような生き方をしておかないと、実はそれが目に見える範囲、手に届く範囲まで迫ってきているかもしれないのだから。

ならば早く整理整頓して、見られちゃ困るあれこれは処分しようね。

それにしても大工さんは、この寒い季節で、見つかるまで2、3日で、ご家族の方に会えたのが救いでした。これが何ヶ月も経ったり夏だったりしたらと考えると…。色々お世話になったのに大してお礼も出来なかったのが心残りです。どうか安らかにお眠り下さい。

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