またひとつ、寂しいお別れがやってきて放心している

嘘だろ?としか言えないんですよ。また訃報が飛び込んで来たのです。前の職場でかつて一緒に働いていた方が、今月初め、既に息を引き取られていたということを突然知らされました。60代半ば、まだまだ早すぎる旅立ちです。

その方は2年半ほど前に、体調が思わしくなく検査を受けたところ、癌が発見されました。ちょうどご家庭の事情もあって、退職することを決めた矢先の事でした。切除の手術がしづらい場所にあったということで、薬物治療で対処することにし、半年ほどの治療のあとは、また出張先の現場へ同行できるくらいには回復されていたのです。なのですが…。

まもなく出発する予定のGW出張にも当初は同行する予定だったのです。なのでいつも通りに宿の手配等も済ませ、得意先社長も現地でしてもらう作業に必要な書類の手配をしていたのです。そして事前の打ち合わせをする為に日時の連絡をとろうと思っていた時、逆にその方から電話があったのです。ここ数日少し体がしんどくて、医者に相談したら今回の出張に行くことはドクターストップをかけられたので、申し訳ないけれど辞退させて欲しいとのこと。それが3月の半ば過ぎのことだったのですが、その時はそこまで元気が無い様子でもない普通の声だったそうなのです。でも、その2週間後には命が尽きてしまっていたのだとか。

今度の出張の宿のキャンセル連絡をしながら、それでもその次の夏の出張の時には回復して一緒に仕事が出来るのではないかと思っていました。なので夏の出張先の宿の予約のほうもキャンセルしておいてと得意先社長には指示されていましたけれど、あえてもう少し先でいいやと保留にしていたのです。ああ、忘れずにキャンセルしとかないといけないな、と思った時、やっぱり心にズシンときて涙があふれました。

一緒に働いていた頃は、仕事に対する考え方や態度の相違で、疎ましく思ってしまったこともありました。自分が入社したばかりの頃は、社長に認めてもらえず誤解され傷ついていたのを、遠目からかばってくれたり助け舟を出してくれていたにも関わらず。それでも退職されて非常勤の立場で現場の手伝いをして下さる時は、いつも穏やかにニコニコと「久しぶり、元気にしてた?」と優しく声をかけて下さるのです。そんな時、机の向かい側に座っていた頃は必要以上にカリカリしてしまって、嫌な気分を押し付けていたんじゃないかなあと気になりました。でも、もうそれを伝える事は叶わないのです。

仕事上のあまり気分が良くない思い出しか無いかもしれないなとぼんやり暗い気持ちで今日は過ごしていましたが、でもいろいろと振り返っていると楽しかったことも記憶の中から出てきました。入社して初めての出張で訪れた浜松で、帰る間際に時間が余ったので、二人で楽器博物館へ行ったのでした。その方も趣味がギターだったので、あれこれ丹念に見ていって2時間半くらいいろんな楽器を眺めて蘊蓄を語ったのでした。あの時はほんと楽しかったなあ。

天国でも好きなコーヒー飲みながらギターをゆるくゆるく弾いてて下さい。わたくしもそちらへ届けられるくらい心をこめて弾けるように練習したいと思います。

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