いろいろあってクレジットカードの整理をしちゃおうかね、ということに先週末以来意識が向いているわけですが、財布からカードを抜き出したりしているうちに、いや待てそれより先に財布の整理だ! と思い立ちました。
それでカードもお金もレシートもクーポン券もお守りも全部抜き出して空っぽにしたら、そういや財布もくたびれているなあと気づいたわけですよ。
わたくしが愛用している財布は黒い革製の長財布でございます。もう4年くらいの付き合いでしょうか。一時期、長財布じゃないとお金が貯まらない教を信じ込んでしまった時に衝動買いしたものです。財布の値段の200倍が年収になる教にも片足突っ込みましたが、信心が足りないのか全く届く気配もありません。
こんな感じの財布です。傷傷です。
中身はこんな感じ。内側は革張りではなく裏革のザラッザラな面をそのまんま使っています。カードポケットも見えない部分を布で作ったりせず革を縫い合わせているだけなのがワイルドで気に入ってます。
で。せっかく空っぽにしたのでこの機会にメンテナンスをしようと思いつきました。お道具箱から取り出したのは、このレザー用クリーム。ドイツのコロニルというブランドの「1909シュプリームクリームデラックス(カラーレス)」というものです。
いろんな革製品に使える栄養クリームで、ちょっとお高いんですが(3000円くらいした)、この財布のメーカーである土屋鞄製造所イチオシのクリームということなので、余裕のある時に買いました。シダーウッドオイルとラノリンを主成分にしてあり、有機溶剤を使用していないので、たいていの革製品に安心して使えるのだそうです。
財布はしょっちゅう手で触るので、手の脂で充分オイル成分が補給されるから栄養クリームなぞ不要説もあるそうですが、持ち物を大切に使う教の宗教儀式としてメンテタイムを作るのは楽しいですぞ。なのでコロニル買いなよー(もっと安い物でも有機溶剤フリーなら良いと思います)。
さて、そんなコロニルのクリームを塗りたくる前に、乾拭きorブラッシングをしましょう。表面の細かいシワに潜り込んでいる埃を払うのです。クリームと一緒に塗り込むわけにはいきませんからね。余談ですが素早く拭いているように見える写真を撮るのに苦労しました。
ちなみにクリームを塗るのは革の表面の乾燥が気になり始めた時とか季節の変わり目ごととか、長い周期で構いません。毎日・毎週のお手入れなら、この乾拭きまでで充分だそうですよ(それすらやってないけど)。
あ、重箱の隅をつつくのが得意な仲間たちはお気づきだと思いますが、本来は専用の柔らかくてきめ細やかな布を使うべきところリサイクルの観点からわたくしは、洗濯済みの履き古した靴下をメンテナンスツールとして使用しております。でもリサイクルの観点とか言いながら乾拭き・塗り込み・仕上げ拭きと使ったらそのままポイです。
さて、乾拭きしたらコロニル・シュプリームクリームデラックスの蓋を開けて、布にちょびっとだけ付けます。革靴一足でも小豆一粒くらいの量と言いますので財布なら米粒くらいで良いのでしょう。これは付けすぎかな。
そしてここからはスピード勝負。極力手早く、薄く塗り広げます。クリームは革にすぐ染み込みますので、テキパキやらないとシミができたり塗りムラで色がまだらになったりしますよ。
写真撮ってから必死で塗り広げましたけど、クリームの白っぽいのが見えるようなこんな塗り方は厚すぎです。
よく見える表側だけでなく、細かい隙間などにも忘れずに塗りましょう。余談ですがこの財布は構造が独特なのでサイドは蛇腹のように重なっているのです。この表面の白いのはクリームではなくて、パラフィン(ロウ)です。ステアハイド(生後2年以上の去勢した雄牛の革)にオイルを含ませロウ引きしたパラフィンレザーなので、新品の時は全面がこんな風に白く粉を吹いたような風貌でした。こういう滅多に手や物が触れない部分はまだ新品の頃のパラフィンが残っています。
話は戻って、塗り終わったらクリームがしっかり馴染むまで小一時間放置。それから乾いた綺麗な布で、またしてもひたすら乾拭きします。余分なクリームの成分を拭き取りつつ、表面を磨いて艶を出すのでありますよ。とにかく拭けひたすら拭け。
そしたらこんな感じです。写真じゃあんま判らんね。
内側もこんな感じ。ちょっとは艶っぽく輝き増してんのかね?
Google先生に聞いたら簡易合成術を教えてくれたので、ビフォーアフター画像を作ってみました。まあ!なんということでしょう!
…と言うほどでもないな。照明の具合もあるのでなんとも言えんですね。ただ傷は目立たなくなったと思います。そして何よりも写真では伝わらない「手触り」が、一連のメンテナンスをすることで、しっとりなめらかへと変わりました。アンチエイジングの極み。
これで一旦作業は終わりですが、このまま一晩休ませると革の内部までオイルが浸透してより一層ハリのある艶やかな革へと蘇るのです。牛革だって元々は牛の皮膚。そこのマダムもおやすみ前にはメイク落として素っぴんの肌に化粧水とか乳液とかバシャバシャ叩いてからベッドインでしょ?それと同じことを(生きて分泌してないので毎晩じゃなく時々でいいから)してあげれば美貌が保てますよ、ってだけのことです。
ではわたくしも美貌を保つために、おやすみなさいませ。