前々から気になっていたお店へ、今回の旅で念願叶ってようやく行くことができました。これまでメインの行き先とは方向や路線が違ったり、一人で行くのはちょっと気恥ずかしかったり、誰かと行くにも食事場所の相談になると何故かすっかり忘れてしまったりで、行きそびれていたのです。
そのお店は「パクチーハウス東京」という名の、パクチー料理専門店。今でこそちょっとしたパクチーブームが巻き起こって、同様にパクチーを使った料理ばかりというお店が何軒か開店しているのですが、元祖はここ、パクチーハウス東京なのです。オープン当時は世界で唯一のパクチー料理専門店だったのですから。
ここを知ったきっかけなのですが、2008年に「ぱくぱく!パクチー」という出版されたばかりの本を知人に教わって読んだことでした。一見パクチー料理のレシピ紹介などが中心に見える本でしたが、それ以外のコンテンツから、筆者でありパクチーハウス東京の経営者でもある佐谷恭さんのある種狂おしいまでのパクチー愛が伝わってきて、それまで特別好きでも嫌いでもなかった(というか正直そんなに口にする機会もなかった)パクチーをわたくしも好んで食べるようになりました。ええ、一時はホームセンターでパクチーの苗を買って育てようとしたこともありましたよ。枯らしましたけどね。
さて、それで今回は、たまたま友人との会話の中でパクチーの話題が出てきて、そういえばこんなお店があるんだよとパクチーハウス東京のことを話したら、じゃあ面白そうだから今夜はそこで食事しようよという展開になって、ようやく訪問のチャンスが巡ってきたのです。やっぱりこういうのを面白がれる人と行くのが一番ですから、ついに機が熟したという感じですね。
新宿から小田急線に乗って、急行で3駅目だったかの経堂駅で下車しました。経堂は初めて訪れた街でしたが、駅を出るとえらく賑やかだったのです。丁度お祭りの日だったようで、お店のある経堂農大通り商店街はパレード開催中。サンバを踊るチームと鉢合わせになって身動き取れなくなってしましたが、なんとか辿り着きました。何もなければ5分もかからない道のりを足止め食らって20分くらいかけて歩きましたが、サンバのリズムもいい思い出になりました。
そのお祭りも関係したのか、日曜の夜だからさほど混んでないだろうと予約もなしに突撃したのは考えが甘かったようです。満席なので立ち飲みなら、と言われ、せっかく来たのだからそれでも構わないと告げて順番を待ちました。数分後に空き席ができたようで案内された席は、見知らぬ女性二人組との相席。事前に知っていたので驚きませんでしたが、パクチーハウス東京は世界各地を旅した経験を持つ佐谷さんのこだわりで、海外のゲストハウスのように相席も当たり前のスタイルなのです。
さて、せっかくなので約1ヶ月ぶりにビールを飲みました。スタンダードな中ジョッキが琥珀ヱビスだなんて、飲まずにいられようか。
ビールなのですが、他にも世界各国から取り寄せられた50種類ほどの銘柄がありますよ。わたくしも後でタイのシンハービールを飲んだりしました。
さて料理。まずは月替わりメニューの冷製スープ「根ポタージュ」から健康的に始めてみました。その名の通りパクチーの根っこをふんだんに使った冷たいポタージュスープです。そのままでは特にパクチー独特の香りは感じなかったのですが、飲んでみると後からこみ上げるようにパクチーの香りがブワッと!味は美味しくて飲みやすいのでぐいぐいと飲んでしまいました。が、写真撮ってないぞ!
すみません飲み干した後の器で。パクチーのパク(89)の文字が可愛いグラスでした。
それからパクチー前菜3点盛り。右側のはアジアンテイストな、多分スウィートチリソースでの味付け。真ん中のはゴマだれ味のパクチーおひたし。左側のは、鰹節とミョウガとに豆腐を混ぜた白和え?と思ったのですが、豆腐でなくクリームチーズのような味の食材でした。あれ何だったんだろう。お店の人に聞きそびれました。
そしてパクコロ。一口サイズのコロッケです。パクチーを敷いて衣にもパクチーをまぶしてあります。
中を割ってみると緑色で、これもパクチー味かと思いきやグリーンカレーコロッケでした。辛ウマ!
下調べで写真を見て、絶対頼もうと思っていたパク天。文字どおりパクチーの天ぷらなのですが、結構デカいのでその大きさにビックリです。しかしこの写真では比較するものがないのでその大きさが伝わらないなあ。実際に注文して確かめてくださいませ。パクチーを混ぜたパク塩が降りかかっていて、サクサクの食感とパクチーの香りで心まで満たされます。
パク塩鶏ハムとかフランパクフルトなんてのも注文しました。鶏ハムにもパクチーパウダーたっぷり。フランパクフルトにもひき肉とともにパクチーの葉も茎も根っこも混ぜ込まれています。もはやパクチーに肉を添えてある感じがします。
最初の頃は「おお、パクチーの強烈な香り」なんて思いながら料理をつついていましたが、次第にパクチーの香りがするのが当たり前になってきて珍しくもなんともなくなり、ただ美味しいねと思うだけになりました。麻痺してますね。ではそろそろ締めにいこうかと思って、壁の黒板に書かれていた「季節のパクチー麺 Soyster Blanc 2016」という仰々しい名前の料理をオーダーしました。
牡蠣と豆乳のコク、が魅力的なメニューのようで、勝手にクリーム系パスタみたいなものかなと思っていたのですが、近隣のテーブルに運ばれている麺料理を見て、それは勘違いで本当はラーメンやフォーのような熱々スープたっぷりの料理だったかもしれないなあ、と同行の友人と話していました。そのタイミングでテーブルに運ばれたのがこの料理で、ああやっぱりそうだったか、と思いながら店員さんが目の前でパクチーをドサッと載せてくれた丼から取り分けて食べ始めました。
これはこれで美味しかったのです。でもエビはたっぷり入っているけど牡蠣はなかなか出てこないし、豆乳は入っているのかもしれないけれど、ミルキーなまろやかさなんて辛さと酸っぱさでかき消されているし、想像してたのとはだいぶ違ってたなあと思いながら、ほぼ食べきったその時でした。
「お待たせしましたー。季節のパクチー麺 Soyster Blanc 2016です!」と店員さんがこれを持ってきて。
結局、先の麺料理は他のテーブルに出すはずのものを間違ってわたくしのテーブルに運んでしまったようで、本来のオーダー品はこれ。そして注文時の想像通りの料理だったのに、それを「勘違いしたかも」と勝手に思い込んでしまっていたので、間違って提供された料理にうっすら違和感を覚えつつも疑うことなく食べてしまったのでした。
ということで、せっかく作ってくださってるのだからと、この牡蠣と豆乳が美味しそうな季節のパクチー麺 Soyster Blanc 2016のほうも頂くことにして、超満腹になりました。この緑色のパクチー麺は自家製で、パクチーを練りこんでいるのですよ。パクチー麺は持ち帰り用に販売もしているそうです。それにしても注文品と違うのに気づかず全部食べるわお代もサービスして頂くわで、本当に申し訳なかったです。
で、超満腹なのに別腹デザートで肥満への一歩。友人はパクチーの花の蜜がけパク塩アイス、わたくしはパクチーシャーベット。ここまでパクチー三昧なのか!さっぱりして清々しい美味しさでした。
たらふく食べただけでも大満足だったのですが、ホールで働いている男性がまさかの佐谷恭さんご本人だったと判ってさらに驚き!あの「ぱくぱく!パクチー」の著者に料理を運んでいただいてたなんてっ!と大興奮。お店の方々も、たまたまわたくしが特に狙ったわけでもなく着ていた、I♡BEERと書かれた緑色のTシャツが気になってテンション上がってたそうで、食後に佐谷さんらとあれこれ話をさせていただきました。パクチーの被り物を着けて一緒に写真を撮ってもらったり(恥ずかしいのでこれは載せない)、パクチーの種を分けてもらったりもしましたよ。
スタッフの方々とも気さくに話したりするうちに、このパクチーハウス東京は、パクチーを通して人々と交流する場所なんだなあと感じました。パクチー料理を食べたいだけなら他のお店でも味わえると思うのですが、海外のゲストハウスのような雑多で愉快な雰囲気を楽しみながらパクチー愛を深められるのは、きっとここだけでしょう。そういう空気にピンとくる方は是非一度足を運んでみてください。わたくしも次回はきっと「ただいま」の気持ちで再訪すると思います。
初めてコメントします。
パクチーハウス!行かれましたか!!
いいですねー。
パクチー好きの自分としては行きたいのですが、うちからは行くのが少し面倒でなかなか行けずにいます。
レポートのおかげで行った気になれました。
でもいつか行ってみたいですー。
おいしそうなものがたくさん。
久々のビールもおいしかったことでしょう。
かぶりものの写真、見てみたかったです。
パリッコ様
コメントありがとうございます。パリッコ様もパクチーハウス東京が気になっていらっしゃるのですね。是非是非、こんなブログを読んだだけで満足なさらず実際に訪ねてみてください。パクチーがお好きならきっと楽しめると思いますよ。確かに経堂って立地は、ターミナル駅周辺と違って行きづらいかもしれませんね。でもまあその分、海外旅行でたどり着いたレストラン級の思い出になるかも。
久々のビールは、美味しかったけれど素早く酔いが回りました(笑)。被り物の写真は、友達や店の人も写っているし、自分だけトリミングしてもあまり面白くないしでボツです。とか言って「代表社員ご挨拶」みたいなところで使ったりし…ません!