今日は参議院議員通常選挙の投票日です。昼食をとった後、投票所まで出かけて無事に投票を済ませました。今夜は開票速報に釘付けになるので早めにblogを書いておこうと思います。
ただし、まだ投票締め切り前の今の段階で記事を上げるのに、具体的な候補者名などを出すのは選挙運動とみなされて法令に触れることになるといけないので、その点は伏せておきます。
それにしても今回は投票先に迷いました。愛媛選挙区の方は、例のボートマッチの結果でも一目瞭然だったので3人の候補者の中から選ぶのはほぼ即決でした。ボートマッチによれば一致度は93%にもなりましたから。わたくし自身の肌感覚ではあまりそう思わないのですが、報道機関の予測によると2人の候補者がほぼ横並びだそうなので、ハラハラしながら開票速報を見てみようと思います。
困ったのは比例区の方です。と、話す前に。投票を終えて実家に寄ったところ、投票はこれからだという家族と話していて、この比例区の仕組みってちゃんと理解できている人は意外と多くないのではないかと気になったので、簡単に書いておきます。
参議院議員選挙の比例区は、非拘束名簿式比例代表制というスタイルをとっています。この方式は2001年の第19回通常選挙から導入されているのですが、それ以前の(1983年の第13回〜1998年の第18回)拘束名簿式比例代表制との違いがうちの家族は今ひとつ分かっていないようでした。
比例区に立候補する方は、政党に所属していまして、その政党ごとに立候補者の名簿が届け出されています。つまりその名簿に掲載されている人の中から議員を選ぶわけです。
投票する時に用紙に書くのは、「政党名」または「候補者名」のどちらかです。以前の参議院比例区、それから衆議院議員総選挙の比例代表制選挙区の場合は「政党名」のみを記入するというルールなので、それと混同して「政党名」を記入するものだと思われている方がいらっしゃるようなので、ここの違いは覚えておいてください。
そうして、「政党名」または「候補者名」が書かれた投票用紙が開票されてどのように当落と結びつくかというのが、知らないと複雑に思えます。
まずは、候補者名を書いた投票用紙も、一旦その候補者が所属する政党名の票として扱い、政党ごとの得票数を集計します。
次にその政党ごとの得票数によって、ドント方式という計算方法で、各政党への議席数が算出されます。ドント方式は大雑把に言うと、得票数を1で割る、2で割る、3で割る、…と順に割り算をしていって、その数の多い順に議席を割り振っていくのです。たくさん得票したA党が5で割った数が、少なかったB党の1で割った数(つまり得票数そのもの)より多かったりすれば、A党が5議席取ってB党は1議席も取れないということも起こります。
とにかく、そういう計算で各政党の当選議席数が決定すると、次にその議席数を誰に割り振るかを決めるわけです。そこで、投票用紙に書かれた「候補者名」の得票数がカギを握ります。
衆議院総選挙の比例代表制やかつての参議院比例区の「拘束名簿式比例代表制」と違って、「非拘束名簿式」である現在の参議院比例区は、名簿に順番がありません。なので、A党の獲得議席を配分するのは名簿の順番ではなく個人票の得票数の多い順なのですね。
ということは、比例区に立候補したある候補者を当選させたければ、その候補者名を書かなければ厳しくなるということです。
ただ、実際に投票に行かれた方なら、記入所に書かれている候補者一覧を見てお分かりだったと思いますが、とてもたくさんの立候補者がいます。この中から1人を選ぶなんて、本当に難しいと思います。よほど知り合いとかお気に入りの候補者でもいない限りは。
ですので、もうそこまで絞れないよという方は仕組みを理解した上で「政党名」を書くというのも間違いではないと思います。ただ、「政党名でも候補者名でもどちらを書いても良い」という事実を知らない方も多いようだと思ったので、長々と書いてみました。
ちなみに、この非拘束名簿式というのは、比例区立候補者の中に当選させたい人がいても、決められた名簿順位が下位だから当選させることが難しい、という意見の改善策であると考えられます。
しかしこの非拘束名簿式比例代表制では、候補者名の得票数で政党全体の獲得議席数を押し上げられるという効果があります。例えば名前の知れた芸能人でも3人くらい候補者名簿に入れておくと、極端な話、その3人の個人票で政党全体の議席数を倍増させ、個人票が他党の個人票トップの人より少なくても当選させることが可能なわけです。前回の参院選でも実際に起こりましたし、今回もきっと起こるだろうと思われます。
選挙制度にはどれも一長一短がありますが、前述の理由でこの制度はあまりいいものではないなあと個人的には思っています。
まあ、そういうことも理解した上で、悩んで悩んで比例区の候補者の中から、争点に対する考えの一致度が高い人物を3人にまで絞り込み、昨夜なんとか1人に決めてその候補者名を書いて投票したわけです。
3人のうちの2人は大きな組織のバックアップがあるようでした。もう1人は中くらいの、でもそれなりの力を持つ組織で、ある人からの勧めもありました。
でも、考えの一致しない部分を比べると、その勧めがあった候補者が訴えるところが最も譲れない部分だったので選択肢から外すことにしました。それで残る2人のどちらか。
偶然にもその2人を支援する組織はそれぞれが似たところがあって、そのどちらも自分とは直接関係ないところでしたので、本心を言えばどちらでもいい。組織の力で自分が票を投じなくてもどちらも当選するかもしれませんが、それなら片方は現職、片方は新人、で新しい人の可能性に賭けてみようと思った次第です。
さて、開票が始まったようですが、どういう未来になるんでしょう。あまり良い方には期待していないのですが、とりあえず行方を見守りたいと思います。