今夜はどうしてもギネスを飲みたい夜なのだ。お星様に捧げる「うむ。」

多少は鼻水やくしゃみが残っていますが、早めに寝たお陰か、症状は緩和されています。午後は例の映像制作を続きにとりかかりましたが、途中で着地点を見失って一休みです。

さて、今夜はどうしても飲みたいので、ビールを買ってきました。でも、今日はそのビールについての感想とかを書きたいわけではありませんので、カテゴリーも酒ではありません。

以前、月餅さんがくも膜下出血で亡くなったという話を書いたことがあります。Twitter上で名前だけ聞いたことのある面識もない人の訃報の話でした。

そんな風に、Twitterの世界だけで知っている方が亡くなったことというのは、以前にもありまして、それが一年前の10月10日のことでした。

その方はけいろー先生と呼ばれて多くの方に親しまれていました。先生という敬称は、実際に広島で大学の先生をされていたからだそうです。とてもユーモラスで機智に富んで、フォロワーの間でつい真似たくなるような言い回しを多用されるので、けいろー先生発の流行語もいくつかありましたし。また、ツイートから滲み出る人柄も優しくて、そして働き者で、働きすぎて、自らの健康も顧みず。

昨年の10月9日は、わたくし夜遅くまで会社の決算のための会計作業をしていました。入力して見直してまた入力して、を繰り返していたらあっという間に日付が変わって10日に。画面の端にはTwitterのタイムラインを流し続けていたら、日頃おしゃべりなアカウントの皆さんも、次第に寝落ち離脱して流れが遅くなりました。そんな中、けいろー先生のツイートだけで少しづつタイムラインが動くような感じになっていました。

ネタで良く書いていた「つらい」の一言をはじめ、書類を仕上げるのが大変であるという呟き、そして身体の痛みがひどいが歳のせいだろうなというような言葉がぽつりぽつりと置かれていました。

深夜だったけれど、寝付けそうにないからお散歩に行こうかというようなことも呟かれていました。

それが目に留まった時、今時分のように日中に比べて冷え込みが厳しい時期でしたので、「あらー、けいろー先生、こんな時間に散歩に出掛けたりしたら風邪ひきますぜ、やめて早く布団に入った方がいいですよ」と内心思いました。そして自分も作業を切り上げて眠ったのでした。

そして朝を迎え仕事を終わらせて夕方。3つくらいのフォローしているアカウントが同じものをリツイートしているという通知が鳴りました。またTwitterのお節介機能で、しょうもないネタが紹介されたに違いない、と思って画面を開くと、【訃報】という言葉から始まっている知らない方のツイートでした。

誰か有名人でも亡くなったのかな、と読んでみると、そこに書かれている名前はけいろー先生のものでした。

その当時は大学の先生なのだということは知らなかったので、その同僚の方の訃報ツイートの肩書きやらを見ても、同姓同名の別人?と全く事態が呑み込めませんでした。でも、フォロワーさんらの中には、実際にけいろー先生とお会いして個人的にお付き合いがある人もいるので、その方々の愕然としたツイートから、どうやらご本人であるということが判ったのでした。

その日の夜は、途方に暮れるような、やり場の無い悔しさのような、事実として認めたくないような、色々な感情がもつれた、しかし寂しい影のあるツイートが静かに流れていきました。駄洒落ではありませんが、追悼ツイートがまるで精霊流しのようでした。

嘘だろ、嘘だと言って欲しい、とけいろー先生をフォローしていた人なら誰もがそう思ったと思いますが、本当に、自分を指して17歳JKとふざけてツイートしたのを最後に、いくら待っても新しいけいろー先生のツイートは流れて来なくなりました。

次の日、わたくしはギネスビールを求めて街をうろつき、適当な店で一杯ちびちび飲みました。けいろー先生はギネスビールがお好きだったのです。そしてわたくしのタイムラインにも、多くのフォロワーさんがギネスビールの写真とともに「うむ。」と一言添えたものが流れてきました。同じように、けいろー先生を偲んで献杯する人がたくさんいたのです。

わたくしの場合は、フォローはしていたけれどもお会いしたことも無ければリプライを送ったことも無い、ただ一方的にアカウントを知っているだけの存在です。だけれども、その命が燃え尽きる間際のつぶやきをリアルタイムで見ていて、そして思った通りにもしもリプライを投げかけていたら、それを見てけいろー先生がふと気が変わってくれていたら、運命が変わったかもしれないんだよなあという、有り得もしないはずの悔いが心にひっかかっているのです。

けいろー先生はあの後、寒い中深夜のお散歩に出掛けて、その途中で急性心筋梗塞により亡くなったのだそうです。

Blogを始めてから、Twitterを見る時間が格段に減ったのですが、もしその勢いで辞めていたら、今夜わたくしはギネスを飲むことをすっかり忘れていたかもしれませんが、特に親しくされていた方々は追悼オフ会のようなことも企画されていたようなので、それで思い出すことができました。

まあもし忘れてしまっても、「なにしろ時は移ろうんだからなあ」というお決まりのツイートで、けいろー先生は許して下さると思います。そう、どんなものだって諸行無常。

何を書いてるのかよくわからないと殆どの人が思うでしょうが、そういう色々を抱えての献杯でした。大切な今夜の一杯です。

うむ。

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