昨日の創英角ポップ体風邪薬が少しは効いたのでしょうか。睡眠時間も多めにとって、今朝はひと山越えたくらいの体調でした。欲を言えばもう少し寝たいけれど、出掛ける事は無理ではない感じ。
それでひと風呂浴びて、10時過ぎに例の着物の達人がやってきました。今日は前々からお誘い頂いていた、内子座文楽に出掛ける日なのでした。もちろん、着物で。
6月ごろだったか、事前に着物を合わせたりしたのですが、天気予報でかなり暑くなるということを聞いた達人は、自分の着物を白の小千谷縮に変更することにしたのでした。
で、わたくしの分も、本来は達人が着る予定だった着物と釣り合いがとれるか否か、という観点で決めていたのですが、そうなると二人のバランスとかどうでもよくなってくるので、麻が入った涼しいものにしたほうが良いのではないかと、別の着物も持って来て下さいました。
そちらの麻混のほうが、細いストライプも入っているのでかっこいい感じもして好きだったので、急遽そちらを今日は着ることにしました。同じく麻混で肌触りの良い半襦袢も借りて、帯も白いものを締めることにして、あっという間に準備完了。着崩れそうだなと心配しながら助手席に乗り込みますが、達人は着物姿で運転です。まあ手慣れたもんで感心します。ちなみに運転には下駄ではなくスポーツサンダルを履かれておりました。
そして一路内子へ。道の駅からりで少し早めの昼食をとって、それから駐車場へ車を停め、少し街を散策しました。こういう恰好で古い街並が残る場所をそぞろ歩きするのは、なんだか心躍りますね。道行く人々の物珍しそうな視線も感じますが、それはそれで楽しいような。
割と大真面目に、こういう着物男子がもっと街をうろうろ歩くようになって、当たり前の風景になればいいのになと思っていますが。でもこれではやはりコスプレの域を脱してませんね。
お目汚しのお詫びをしつつ、メインイベントの内子座文楽についての話。今回は「義経千本桜」という演目の中から、全5段中3段目の「すしやの段」と4段目の「道行初音旅(みちゆきはつねのたび)」を上演するということでした。
一応、事前に床本集と解説のパンフレットはもらっていましたが、目を通す時間も無く、簡単な設定だけを頭に入れての鑑賞となりました。疲れもあって始まって間もなく睡魔に襲われて、途切れ途切れになってしまいましたが、それでも、なんとなくは話を追う事はできました。追えても結構複雑に思えたので、あらすじの説明は省略しますが。また勉強し直しておきます。
何より、初めて観る文楽だったのですが、予想以上に人形は大きく、舞台装置も大掛かりで、花道の最後方という位置だったにも関わらず、繊細さと迫力が伝わる舞台だったのが意外で驚きました。観るまでは、舞台の中程で人形を操って、縮こまった感じのものを観るのかと思っていたのですよ。
人形は子供の背丈くらいはあるように見えました。それを3人掛かりで動かします。とても細かい動きもできますし、ダイナミックな動きも可能です。
また、物語は太夫と呼ばれる役割の方が情景描写や台詞等を独特の節回しで語って進めていきます。それに合わせて三味線も様々な音を奏でていきます。それらのリズムが心地よくて、語りが何を言っているか詳細まで解らなくとも、人形の動きに呼応した心地いい波長として体に響いてきます。
観ていて感じたのは、華やかさは少し欠けるけれど、これは人形を使ったミュージカルに似ているなと。こういう表現が日本に長年息づいているのは、もっと誇れる事だろうし、もっと観て楽しむ人が増えるべきだろうと思います。
おそらく食わず嫌い、どころか食ってみようという機会すら無い人が殆どだと思います。わたくしも誘われなければそんな機会は無かったわけですが。チケットも7000円もしましたし。でも、その値打ちは充分にある楽しいものでした。つまらなそう、などと言わずに、そういう機会が転がり込んで来たら、是非試してみて欲しいと思います。