最近すっかり雑誌なんて買わなくなっていたのですが、今日は珍しく買ってみました。それもわざわざ本屋さんへ足を運んで探して。というのも、たまたまネットサーフィン中に気になる記事を見つけて、なんとなく欲しくなってしまったのです。
買ったのは小学館発行のDIMEです。流行のものや新製品などを紹介する記事が多くて、以前から時々読むことはありました。ただし、今回購入したのは、その記事を読む為ではありません。最近はやりの豪華付録のほうが目当てだったので、本誌を読むのは後回しにします。早速挟み込まれていた付録の箱を取り出しましょう。
2015年7月号の付録はこれでした。BEAMSとのコラボレーションによる特製万年筆。ネットでこれを買ってのレビューをいくつか見かけ、雑誌の付録にしてはけっこう良いぞと評判になっていたので、気になってしまったのです。
わたくし、ファッション関係には疎いのでBEAMSがお気に入りブランドであるとかいうわけでもなく、正直言いまして一度も買ったことなどないのです。ですがあのブランドのイメージカラーであるオレンジは鮮やかで素敵だなあと思っておりました。この付録の万年筆はボディがそのオレンジ色だということなので、えらく魅力的に思えたのです。
箱から出てきたのはこんな逸品でした。うむ、なかなか綺麗であります。
もう我慢ならずすぐさま、胴体を回して付属のインクカートリッジをペン軸の芯に差し込みます。インクカートリッジは、説明書きによると市販のヨーロッパタイプのものが使えますということなのですが、これまで使ってきた万年筆メーカーのものとは明らかにサイズが異なっていて、こんな少量しか入っていないのなら、いよいよコンバーターを買ってボトルインクデビューかな、という気にさせてくれます。いや、付録だから、時計のモニター用電池のようにあくまでも仮といった感じのものが同梱されていただけなのでしょうか。画像は奥から、キャップと胴体、カートリッジを突き刺したペン軸、替えのインクカートリッジです。
インクがペン先まで届く間しばし待ち、早速試し書きです。確かにいろんな方が評価しているように、持った時の適度にずっしりくる重さとか、滑らかなペン先の運びとか、予想以上に良い感じですね。DIME自体が780円しましたけれども、780円でこの万年筆が買えて雑誌まで付いてくるというのはかなり満足感があります(そう言うとライターや編集者の方に失礼ですねゴメンナサイ)。久しぶりに手書きで文字を綴る楽しさを味わえる秘密兵器を手に入れたような気分です。あれこれしょうもないことを試し書きして喜んでおりました。
ところで、わたくしは万年筆という文具にはちょっとした憧れのような、使いこなすとカッコイイみたいなイメージを抱いていたことは間違いないのですが、貧乏性のためか、何万もするようなペン先が金の高級万年筆などにはあまり興味が向きませんでした。革張りチェアに座り葉巻を加えて愛用の万年筆で原稿用紙を埋める、みたいな大作家先生のスタイルを真似ようとかは全然思わなかったのですよ。でも万年筆そのもの以上にインクの筆跡が食指を動かすポイントになっているようで、手紙だったり人に渡すメモだったりには、チープなものでいいから万年筆を使って書きたいなと思うことが多く、それで安いものを買って時々使っておりました。
この手前のものが、中学生の時に正門前のファンシー文具店にて、当時600円にて初めて買った1号機です。パイロット製でペン先もステンレスの初心者向けのものです。しかし買って30年近く経った今も立派に現役選手です。安物だから気軽に使えるというのが、逆に「万年筆は使うほうが長持ちする」というセオリーに合致するからか、良き相棒となっている要因かもしれません。
真ん中の青いのは、文具好きな人なら持っている人も多いだろうLAMYのSafariという万年筆です。これはペンそのもののデザインが好きで、確か2013年あたりの限定色である青色にも一目惚れしたので衝動買いをしました。ペン先はEFという極細のものを選んだのですが、1号機のF(細字)とあまり変わらないように見えますので、メーカーによって規格も違うようです。選ぶ時は気をつけて、出来れば試し書きが可能なところで買うと良いですね。
3本の万年筆で書き味や筆跡の違いを比べてみようとか思ったのですが、まあこれインクの色も違うしカメラも接写出来るわけでもなしで、あんまり意味がありませんでした。やはり新品のBEAMSのは、ペン先がひっかかりもせずスラスラと書けますが、LAMYのは力が入りすぎて先に変な削られ癖でもついたのか、ちょっと紙を擦る音が気になります。それにしても、しょーもないローカルネタで笑いを取りに行きますね相変わらず。
あと、画像には入れませんでしたが、もう1本休眠中のものも所有しています。頂き物なのですが、下さった人に嫌な思い出があって、でもまあ、物に罪はないですから、また水洗いしてインクを入手して使ってあげようと思います。
あ、普段使わない方はご存知ないでしょうけど、万年筆のペン軸って水洗いできるんですよ。特にインクの色を変えるときなどは必須です。あまり使わなくてインクの出が悪くなった万年筆も、コップ等にぬるま湯を入れてペン軸の部分を一晩浸けておくと、古く固まったインク(の成分が乾いてこびりついたもの)が流れ出て書けるようになることもあります。もちろん、浸け置きのあとは流水でよく洗い流し、水気を完全に乾かしてから新しいインクを入れて下さいませ。乾かす時にティッシュで拭くのは繊維がペン先に付くのでダメです。
で、このBEAMSのものが4号機になるわけですが、困ったことに4本ともメーカーが違うのでインクカートリッジも共有出来ないという事態になりました。先にも書きましたが、万年筆にはコンバーターという器具があり、カートリッジの代わりにそれを装着して、瓶に入ったインクを吸い上げるという昔ながらの使い方があります。と言うか、本来はそうやって色々なメーカーのインクから好みの物を選ぶという楽しみ方をするのが万年筆マニアの醍醐味なのですよ。これを機に、そういう新たなぬかるみに足を突っ込んでしまうのもナイスミドルの嗜みとして面白いかなと思ったりしています。
※追記
インクカートリッジとコンバーターについては2015/06/27の記事に少し追加情報があります。