得意先事務所への出勤日だったのですが、事務所の鍵を忘れて出かけてしまい、時間に間に合わなくなりそうで引き返すのに大胆にもタクシーなんて使っちまって、脳内経理担当が引きつった表情を見せる一日でした。
急いで辿り着いた得意先事務所には、いつものように得意先社長からの「これやっといてね伝言メモ」が並べられていたのですが、今日は用件がさほど多くなく、しかもメインの一件は取引先の手違いで必要な素材が揃わないため遂行できないという有様。なので、来週いっぱいに片付けたのでいいよと言われていた単純作業な雑務に手をつけるしかありませんでした。
封筒に宛名ラベルを貼っていく♡
約1150枚。
まあ今日も当然iPodの力を借りて正気を保つわけですよね必然的に。ありがとう、Elvis CostelloそしてGenesis(4人の時代の)。
さて、こういう単純作業のことをですね、なかなか的確に表しているなあと思うネットスラングがあるんですよ。まあこんな極北な零細企業社長blogに辿り着くインターネットサーファー上級者の皆様ならご存知だと思いますが。
「お刺身の上にタンポポを乗せていくだけの簡単なお仕事」
です。この言い回し、わたくしも初めて目にした時は「上手く言うもんだなあ」と感心しました。ですが、ちょっと待てよ…と細かいことですが即座に気になってしまいました。
「あれ、タンポポちゃう!菊や!」
でしょ?でしょ?あのお刺身に乗っている黄色く小さなプラスチック製のお花は菊しかありえないでしょう?
しかしいろいろ検索してみると、どうもあれはネタではなく本当にタンポポだと勘違いしている人が多いみたいですね。確かにプラスチック製のものだと見た目はタンポポに見えなくもありませんが。
でも安めの居酒屋さんででも刺身を注文すれば、プラスチックではなく本物の黄色い花が添えられていると思います。あれを見ればタンポポではなく小菊なんだということは一目瞭然ではないかと思うのですがねえ。
そしてさらに、あの菊は食べられる菊だということもあまり知られていないようです。わたくしのようなオッサン世代だと当たり前のように知っていることだと思われるのですが、ネット上の書き込みを拾うと、若い世代では「あの花って食べられるのか!信じられん!」というような呟きがザクザク出てきますね。
あの刺身についている小さな菊は、菊の中でも食用菊として改良された種類のものなのです。もともと菊には古代中国の頃より延命長寿の漢方薬として飲まれていたという歴史があるそうで、食用菊は鑑賞用のものより苦味を少なく甘味を含むように品種改良してあるのだそうです。
そしてなぜ刺身についているのかというと、彩りのためでもありますが、それ以上に刺身という生ものを食べることにおいて食中毒を予防するという理由が大きいようです。菊を食べることによってヒトの細胞内で解毒物質のひとつであるグルタチオンの産生を高める作用があるのだとか。
そういう科学的な裏付けもありつつ、昔からの生活の知恵として、わさびや大葉やスダチなどと同様に薬味として且つ食中毒や食材の腐敗を防止する役目も果たしているのですね。
ちなみにわたくしは、本物の食用菊が添えられていたら、適当なタイミングでガブッと丸かじりしておりますが、そういう食べ方に抵抗がある方は花びらを少しちぎって刺身醤油の小皿に散らして食べるという粋な方法がおすすめです。
などと、いつものようにダラダラと書き連ねてしまいましたが、特に「健康のためなら死んでもいい!blog」を目指しているわけではなく、今日は「お刺身の上に食用菊を乗せていくだけの簡単なお仕事」をやり遂げて疲れたと言いたかっただけでございました。
あー、そうですか。奇遇ですね、あなたも今日は食用菊を。でもその食用菊が誰かを彩ったり誰かの身を守ったりするんですよ、気付かれにくいけれどね。