たくさんのお客様と接するので、販売している商品に不具合があったり、対応に問題があったりして、クレームを頂くことがあります。後者は自分の心がけで限りなくゼロに近づけられますが、前者はどうしても起こってしまうことがあります。その場合たとえ自分の責任でなくとも、ひとまず窓口として慎重な応対が求められます。幸いな事に、今回は特に大きなクレームはありませんでしたが、お詫びして良品と交換してお許し頂くようなことは何度かありました。
そういう時に、よくビジネス書などで見かける文句の「クレームを頂戴するのは有り難いこと」「クレームはビジネスチャンス」などという言葉が思い浮かんだりします。昔は何だそれ?と思っていましたし、クレームなんて平謝りするか内心腹を立てるかでしかないとも思っていましたが、仕事の経験を積んでいくうちに、「こうやったら不満を持たれたのだから、それを避ける為に次はこうしよう」「今回はこれくらいで済んだけど、放っておくと次回はもっと嫌な思いをお客様にさせてしまうから、改善策を練ろう」という風に考えられるようになりました。
また、クレームを言う側も、憎し腹立たしで言うのではなくて、もっと良くなって欲しいという期待感があるから言うのだ、と説くようなビジネス書もありますが、これもあながち間違っていないのだろうなあと思います。
実を言うと、昨晩は自分がクレームを言う側にいたのです。
宿泊先のホテルで、隣の部屋に誰かが何度も訪ねて来るのですが、その際にドンドンと叩くような力任せのノックをするので非常にうるさく思いました。また、ドアの開け閉めも、バタンと大きな音がして響くような騒々しさでした。その上、廊下で携帯電話をかけて話したり、大声で呼びかけたり走ったり。
非常にマナーが悪いなあとイライラさせられつつも、仕事を早く片付けたかったので、気にならないようにヘッドホンで音楽を聴きながら我慢していましたが、それでも聞こえてくるくらいです。
直接本人たちに苦情を言うか、フロントに連絡して苦情を言うか、迷いましたが結局そうしようとすると騒音は収まるので、タイミングを失ってしまいました。ただ、ドアスコープからちらりと見えた感じでは、揃いのジャージを着て数日前から泊まっている、女子中高生の部活チームのようでした。
その騒音の波は忘れた事に何度かやってきて0時くらいには収まりましたが、翌日も同じような目に遭うのはまっぴらなので、翌朝フロントに一言苦言を呈しておきました。朝食会場には当人達らしき揃いジャージの女子チームとその引率者らしき男性達もいたので、直接苦情を言うということも考えたのですが、結局それはやめました。
しかし、ジャージのブランドからサッカー部のようでしたが、まさかそこに刺繍されている校章と学校名が同郷・松山の高校のものだとは…。部活動でいい成績を残して学校名を轟かせ、そのブランド価値を上げる事を学校としては期待しているのでしょうけど、むしろこれでは学校のイメージが悪くなるだけですよね。公共の場でのマナー教育も出来ないのだったら、学校の看板を背負わせるようなジャージを着るのをやめれば良いのにと思いました。
学校名が判ったので、実は昼間に学校へも電話かメールで苦情を伝えようかとも思ったのですが、結局それもやめることにしました。おそらく彼女らは今後も遠征試合などで、今回のようにホテルに泊まり、マナーの悪い行動をするのではないかと思います。誰かに教えられるまで、それがマナー違反の行為だということには気づかないでしょう。
でも。それに関して自分がわざわざその役目に回る理由があるでしょうか。そんな義理は全くありません。そこまでする労力を、わざわざ彼女達の為にかける理由もありません。その場のタイミングでなら、多少あったかもしれませんが、今もう既に一日が経ち、彼女らがチェックアウトして静かな夜を手に入れた今、自分が彼女らや彼女らの学校に要求することは、何もありません。
と、まあ、少し腹いせのような記事を書いてしまいましたが、ここで立ち返ってみるのですよ。彼女らや彼女らの学校に対して、良くなって欲しいなどという期待は無い(二度と同じホテルに泊まるようなことは避けたい=関わりたくない)、だから本人たちや学校へわざわざクレームを言わなかった、ということなのですから。
そんな逆説が必ず成り立つのかはさておいて、昨晩の出来事で、やっぱりクレームを頂いたら、有難く受け取って成長の糧にしていくべきだなと実感したのでした。